アカデミック・ジャパニーズ・グループ研究会

2017年度

第44回AJG研究会
「コミュニティを越えていく “しかけ”づくり」

趣旨説明

 2008年以降、「留学生30万人計画」という政府主導の政策が展開され、現在日本国内の大学には多くの留学生が在籍しています。しかし、せっかく日本に来ているのに「留学生」の枠を越える機会が少なく、周囲から「お客さん」としての認識を持たれている、あるいは自身でそう捉えているケースが少なくないようです。そのようなことから、なかなか日本人と、あるいは日本社会に生きる人たちと接する機会が持てないとの声を耳にします。また、日本語教師はとかく教室内での言語学習に注目しがちです。しかし、留学生が日本語学習の中で参加していくコミュニティとは、教室内の同じような日本語学習者メンバーとのコミュニティに限らず、教室外のより広い環境での多様な人々と関わり合うコミュニティでもあり、そうした人たちとの相互行為を営みながら日本語学習者としてのアイデンティティを更新していくものと考えられます。また、こうした考えに基づく日本語教育実践研究も現在大きく展開しております。例えば、留学生と日本人学生が単なる一時的な「交流」に終わらないプロジェクト型授業に参加し継続的に協力し合いながら、双方の学生たちは互いの差異に気づき、また自身の価値観を新しくしていくという教室実践の報告がいくつかあります。こうした試みは「共修」、「共学」といった言葉で近年注目され、新たな可能性を広げています。
 今回お迎えする杉原由美先生(慶應義塾大学)、島崎薫先生(東北大学)には、こうした「留学生」の枠を越え、また固定化されたコミュニティを越えていくために必要なしかけをどのように準備するかについて、具体例を交えてお話していただきます。こうしたお話をもとにして、参加者間で、多様な文化的背景を持つ学習者たちが共に学ぶ「共修」の可能性について考えていけたらと思います。

第44回 世話人

石澤 徹 (東京外国語大学)
伊藤奈津美(早稲田大学)
大島弥生 (東京海洋大学)
髙橋圭子 (フリーランス)
松本明香 (東京立正短期大学)
茂住和世 (東京情報大学)
吉田美登利(東京工業大学)

概要

日時 2018年2月18日(日) 10:30-17:00
会場 東京海洋大学 品川キャンパス 楽水会館大会議室
定員 80名
*定員になり次第、締め切らせていただきます。
参加費 AJG会員:無料
非会員:1000円
申し込み期間 2018年1月10日(水)~1月31日(水)

*研究会当日の入会は、お受けできなくなりました。
 非会員の方で、本研究会より会員としての参加を希望される方は、お手数ですが事前にご入会いただきますようお願い申し上げます。

プログラム(講演・ワークショップ趣旨および会員発表要旨はこちら

10:00受付開始
10:30-12:00会員発表
12:00-13:00昼食兼交流会
13:00-16:50講演とワークショップ
「コミュニティを越えていく “しかけ”づくり」
講師:杉原由美氏(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)
   島崎薫氏 (東北大学)
17:00閉会

*スケジュールを変更させていただく場合がございます。ご了承ください。

講師紹介

杉原由美氏(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス 総合政策学部准教授)

専門分野は、日本語教育学、多文化教育、エスノメソドロジー・会話分析。多様な言語・文化背景をもつ者同士が、日本語を使う環境でどのようにコミュニケーションをしながらよりよく共存していけるか、実践と研究を通じて追究している。主な業績として、『日本語学習のエスノメソドロジー - 言語的共生化の過程分析』(2010年、勁草書房)、「日本型多文化共生社会に向けた学びのデザイン-カリキュラムマネジメントの視点から-」(共著) 『異文化間教育』44(2016年)など。

島崎薫氏(東北大学 高度教養教育・学生支援機構高等教育開発部門国際化教育開発室 講師)

専門分野は、日本語教育、留学生教育。学習環境デザイン、言語学習者のアイデンティティ、社会文化アプローチから見た日本語教育、特に実践コミュニティやコミュニティ間の越境に興味がある。国際共修クラスで留学生とすずめ踊りを始めてもうすぐ4年だが、未だに踊れないのが悩み。主な業績として「『実践コミュニティ』とは?:実践コミュニティの理論」(共著)『外国語学習の実践コミュニティ : 参加する学びを作るしかけ』(2017年、ココ出版)、「学生と学生をつなぐ:学生はどうつながり合い,そこからどう学んでいるのかを考える」『人とつながり、世界とつながる日本語教育』(2016年、くろしお出版)など。

第43回AJG研究会
「質的手法TEAを留学生教育の観点から考える」

趣旨説明

 留学生の増加にともない、彼らの日本語学習をめぐるニーズが多様化しています。また、なぜ日本・日本語を選んだのかという留学の入口から、日本語を学んだ経験をどのように生かすのかというキャリア形成にかかる留学の出口までのプロセスにおいて、そのニーズが変化していくこともあるでしょう。そのような中で、留学生教育にできることは何でしょうか。留学生の日本語学習プロセス全体の中で私たちが彼らに関われる時間は限られていますが、そのプロセスを包括的に意識した上で教育することにより、彼らの学びを連続性ある形で支えることが可能になると考えます。
 第43回AJG研究会では、講師にサトウタツヤ先生(立命館大学)をお迎えし、質的研究手法であるTEA(複線径路等至性アプローチ)について学びます。TEAは時間軸における分岐点と等至点、またそこに至る径路に注目することで、ライフイベントのプロセスを歴史的・社会的・文化的文脈において理解しようとする文化心理学の新しいアプローチです。本研究会では、留学生による日本語学習、留学生活、キャリア形成、またはそれらに関わる教師など、留学生教育のプロセスを長期的なスパンで捉えることを試みます。

【参考文献】
『TEA 実践編―複線径路等至性アプローチを活用する 』安田裕子・滑田明暢・福田茉莉・サトウタツヤ編 新曜社

事前課題

上記参考文献の「第I部 研究実践とそこからの生成 1章-TEAの実践」部分を読んでくる。

第43回 世話人

牛窪隆太(関西学院大学)
江森悦子(NPO地球学校)
佐藤正則(山野美容芸術短期大学)
トンプソン美恵子(早稲田大学)
内藤真理子(神田外国語大学)
村上康代(関西大学)
脇田里子(同志社大学)

概要

日時 2017年10月21日(土)13:00-17:00
会場 龍谷大学セミナーハウス ともいき荘(京都)
定員 50名
*定員になり次第、締め切らせていただきます。
参加費 AJG会員:無料
非会員:1000円
申し込み期間 2017年9月7日(木)12:00 ~ 10月15日(日)

*研究会当日の入会は、お受けできなくなりました。
 非会員の方で、本研究会より会員としての参加を希望される方は、お手数ですが事前にご入会いただきますようお願い申し上げます。

プログラム

12:30-13:00受付
13:00-17:00講演・ワークショップ

*若干スケジュールを変更させていただく場合がございます。ご了承ください。

講師紹介

 サトウタツヤ先生(立命館大学 総合心理学部教授)

 専門は、応用社会心理学・法と心理学・厚生心理学・政策と心理学など。社会と心理学の接点について考察を進め、特に法と心理、厚生心理について研究プロジェクトを展開している。質的研究の方法論である「複線径路・等至性モデル」を開発し、その方法論の発展と普及にも力を入れている。

http://www.ritsumeihuman.com/members/read/id/1より)

アクセス

龍谷大学セミナーハウス ともいき荘 http://www.ryukoku.ac.jp/tomoikiso/access.html

第42回AJG研究会 ワークショップ
「スパッと決まる(⁉)ライティング評価を目指して:フローチャートの活用」

趣旨説明

 ライティング評価のようなパフォーマンス評価には,これが絶対という評価点はありません。しかしながら,入試やプレースメントテスト等のように,複数の人で採点し,1つの点数に決めなければならない場合もあります。
 Good Writingを構成する要素はいろいろありますが,評価をする際に,どの要素を優先するか,そして,各要素の定義を決めておかないと,評価にずれを生じ,一つの点数に決めるのが難しくなります。
 私たちは,当初「マルチプルトレイト評価基準」を使ってエッセイを評価していましたが,各トレイトの点数はなかなか統一できませんでした。そこで,この評価基準をもとに,3つのトレイトのフローチャートを作成し,この1年試用してきました。このフローチャートを使うと,どこでずれているのか(例えば,ある要素の解釈が異なっている,等)が明確になり,評価をする際の"もやもや"が以前より"すっきり"としてきたように思います。皆さんの現場でも,このようなフローチャートが活用できるかもしれません。
 今回のワークショップでは,私たちが作った「目的・内容」「構成・結束性」「日本語」の3つのトレイトのフローチャートを実際に使って,日本語学習者の書いたエッセイの評価を体験していただきます。

【参考文献】田中真理・阿部新(2014)『Good writingへのパスポート―読み手と構成を考えた日本語ライティング』,くろしお出版

お願い

 当日は,可能でしたら,ネット接続のできる端末(スマートフォンやタブレット,ノートパソコン)をご持参ください。ワークショップで講師の用意したサイトに接続し,エッセイの評価点やコメントの入力をするためです。

*端末をお持ちでない方については,同じグループの方の端末で代理での接続・入力をお願いすることがあります。
 ご協力ください。
*会場ではネットワーク接続の準備はありません。各自,インターネット接続環境をご準備ください。
*サイトのアドレス(URL)は当日お知らせします。(サイトへの接続が簡単なQRコードも用意します。
 スマートフォンやタブレットをご利用の方は,QRコード読み取りの無料アプリをご用意ください。)
 --iPhoneの方:App Storeで「QRコードリーダー for iPhone」などを検索しダウンロード
 --Androidの方:Google Playで「QRコードリーダー」などを検索しダウンロード

第42回 世話人

小笠恵美子(東海大学)
影山陽子(日本女子体育大学)
鈴木秀明(目白大学)
高橋薫(早稲田大学)
ボイクマン総子(東京大学)
宮﨑七湖(新潟県立大学)

概要

日時 2017年6月17日(土)12:00-17:00
会場 東京大学駒場キャンパス 21 KOMCEE EAST 212室
定員 80名
*定員になり次第、締め切らせていただきます。
参加費 AJG会員:無料
非会員:1000円
申し込み期間 2016年5月15日(月)10:00~6月10日(土)

*研究会当日の入会は、お受けできなくなりました。
 非会員の方で、本研究会より会員としての参加を希望される方は、お手数ですが事前にご入会いただきますようお願い申し上げます。

プログラム

12:00-会員受付
12:15-12:45会員総会
12:45-13:00休憩・非会員受付
13:00-17:00ワークショップ

*若干スケジュールを変更させていただく場合がございます。ご了承ください。

講師

 田中 真理  (名古屋外国語大学)
 阿部 新   (東京外国語大学)
 影山 陽子  (日本女子体育大学)
 坪根 由香里 (大阪観光大学)
*佐々木 藍子 (国立国語研究所)*準備協力者

講師紹介

 ワークショップ講師は,人間によるライティング・パフォーマンス評価と機械学習に基づくウェブシステムとを融合させることによって,第2言語としての日本語ライティング評価及びライティング教育の支援ツールを開発する研究を行っているメンバーです。

*今回のワークショップは、以下の科研費研究プロジェクトとの共同開催です。
 「日本語ライティング評価の支援ツール開発:「人間」と「機械」による評価の統合的活用」
 基盤B(課題番号:26284074 研究代表者:田中真理)
 http://goodwriting.jp/wp/

アクセス

東京大学 駒場キャンパス http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map02_02_j.html
KOMCEE所在地 http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_55_j.html